古建築が受けた地震の爪痕と修復計画(登米市) 宮城県沖地震2021+福島県沖地震2022

稚児行列などの祭礼で知られる登米市南方町大嶽山興福寺。寺域に幾つもの建築物・工作物がありますが、このうち「書院」は国登録有形文化財。明治前期の創建で、小屋組・屋根こそ改変されているものの、主要構造部は旧情を遺しており、とくに色ガラスがはめられた奥座敷は、類例のないものです。

ここ2年続いている初春の地震、とくに2022年の福島県沖地震ではかなりの被害を受けていました。ちょうど2021年度の卒業制作で、地元出身のTさんが秀作をまとめたとき、その対象として採り上げたというご縁もあり、また当寺からのお声がけも頂いて、状況を視察してきました。こうした建造物の造形意匠に興味をもったUさん、Aさんのゼミ3年生も同行。躯体部分の傷み具合を探りながら、古建築のたたずまいを眺めました。

造家造景(大沼)研究室

2022.11.15 TUE

国登録・興福寺書院および旧庫裏
奥座敷の床脇(右)と書院欄間(左)に用いられた色ガラス