
活動報告:特別養護老人ホーム大年寺山ジェロントピアでのヘルスケアアートによる世代間交流の試み —— 素材、音、記憶をテーマとしたイベントの実施
2025年12月15日から25日にかけて、「特別養護老人ホーム大年寺山ジェロントピア」様のご協力のもと、生活工芸研究室によるヘルスケアアート・プロジェクトを実施しました。

1. 企画の背景と「身近な素材」の選定
本プロジェクトは9月ころより準備を開始し、学生が中心となり企画・運営を行いました。ライフデザイン学部産業デザイン学科・坂川研究室による先行活動を見学した上で、生活工芸研究室としては「身近な素材を通じて季節を感じること」「音が鳴ること(楽器の制作)」「介護施設利用者やスタッフとの交流を通じてケアの現場への理解を深めること」を企画の目的としました。
楽器の素材には、生活デザイン学科の造家造景研究室(大沼正寛教授)・共助育成研究室(伊藤美由紀准教授)から提供を受けたスレート(石材)や大学敷地内の竹を活用しています。これらの素材は、視覚的なおもしろさや、日常空間にでは珍しく感じられるような音が鳴る点も考慮し、選定しました。


楽器の素材となった学内の竹と、他研究室から提供頂いたスレート(石材)。素材の質感を活かした制作を目指した。
2. インスタレーション展示
12月15日より、施設内に学生たちが制作したクリスマスツリーや雪だるまを配置するインスタレーション展示を行いました。
これらの展示は「フォトスポット」としての機能も兼ね備えています。利用者の方々が作品と共に記念撮影を行い、その写真を家族と共有したり、日々の思い出として振り返ったりするきっかけとなることを意図しました。




施設内に設置されたインスタレーション。利用者や家族が季節を感じ、記念撮影を行う場所として活用された。
3. ワークショップと演奏会(12月24日)
12月24日には、利用者の皆さんと共に以下の活動を行いました。
① 楽器制作: スレートを入れたマラカスや、竹を切って風船をはめたミニドラムなどの楽器を準備し、参加者にはそれにクリスマスの装飾を施してもらいました。
② 思い出の聞き取り: 参加者から「クリスマスの思い出」を聞き書きしました。昭和一桁生まれの方々のエピソードは戦時中の話も出てきて、現代の我々のくらしとのギャップに大変刺激を受けました。
③ 展示への反映: 記述したエピソードをクリスマスツリーに掲示し、個人のエピソードを施設全体で共有できるようにしました。

スレートを封入したマラカスの制作。素材に触れ、音を確かめながら装飾を施していく。

ツリーに掲示された「クリスマスの思い出」。
4. 演奏会:音を通じた交流
ワークショップの締めくくりとして、制作した竹のドラムやマラカスを用いたクリスマスメドレーの演奏会を開催しました。利用者8名とスタッフの方々の協力により、制作した楽器の音色が響く、なごやかな対話の場となりました。

自作の楽器を用いた演奏会。
謝辞
今回の活動は、学生にとっても、自身の表現が実際の生活空間でどのように機能し、人々の記憶や家族との繋がりにどう関与するかを学ぶ貴重な実践の場となりました。
ご高齢の方々から直接お話を聞くことで得られた学びは、今後の制作や研究において重要な指針となります。
最後になりますが、企画段階から多大なご助言をいただいた大年寺山ジェロントピア施設長の今出川様をはじめ、スタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。
(生活工芸研究室)


