東北工業大学新棟く環境情報工学科>のデザイン展開の記録とその創造過程についての若干の考察
大友 浩幸
平成13年度から本学6番目の学科条件を理論的に分析しながら手間「環境情報工学科」が開設された。この新学科開設にあたり、香澄町キャンバス内に新学科のための研究棟及び教室群の建設が計画された。この新棟計画に向け、新棟建設委員会が学長のもとに設置され、平成12年7月に発足した。二瓶教授は、この建設委員会の委員の-人として専門的立場から建築計画に関わることとなった。
この研究の目的は「本学及び新学科を象徴するような、そして学内の人々に本学のシンボルとしてイメージされるような建築を提案する」ことを課題とした二瓶研究室の研究プロジェクトに参画し、設計のプロセス・手法・技術・ディテール・表現方法を学ぶ。同時に課題に沿って研究・提案を行うことである。
新棟計画の基本方針として新学科設立の主旨を踏まえながら、理念に基づいた計画とする。理念の実現へ向けて従来の箱型建築の観念にとらわれず、新しい発想で取り組む。1.研究環境と教育環境、各々の機能と独自性を重視する。2.研究棟に2層吹抜けの多目的スペースを提案する。3.周囲との関係に留意し、調和のとれた環境をつくる。4.環境へ配慮した計画。以上を基本方針とする。基本方針に基づくデザイン展開の進め方は与えられた条件を理論的に分析しながら手間をいとわないで何案もつくる。それらを比較検討しながら最適解を見つける。答えは一つではなく、総合的に見てバランスのとれた案を発見することが重要である。案を図面化し、更に模型化して検討する。図面及び模型は徐々にスケールアップし、デイテール・仕上げ材・工法など総合的に検討を行う。問題がある度にフイードバックする。
デザインの展開の経過と内容
平成12年度はエスキススケッチに基づいたCADによる基本計画図の作成。平成13年度は図面の内容を検討・吟味するための模型制作を主に行う。
平成12年度はエスキススケッチに基づいたCADによる基本計画図の作成。平成13年度は図面の内容を検討・吟味するための模型制作を主に行う。
1.計画図面の制作
・平成12年10月6日案(第4回新棟建設委員会資料)
・平成12年10月26日案(第5回新棟建設委員会資料)
・平成12年11月10日案く第一次案>(第6回新棟建設委員会資料)
・平成13年2月2日案く第二次案〉
・平成13年2月22日案く第三次案〉(第8回新棟建設委員会資料)
2.演出空間も模型制作
・コロネード空間(S=1/50)
・研究棟屋上牢間(S=1/50)
・垂直動線空間
研究棟外部階段(S=1/50)
教育棟外部階段(S=1/50)
創造過程についての若干の考察について
この新棟計画では質の高い建築二く建築>を目指し、そこに至る過程で膨大な量のエスキス図をつくり、更には模型によるスタディを重ね吟味をおこなってきた。このことはく建物>からく建築>へ至るプロセス=創造過程を含んでいることを意味する。これらの流れのなかでは、手間・労力を惜しんではならない。これは、必要条件である。ただ時間をかければ良いということでもない。「建築家」の「建築に対する熱意」も当然必要となるが、この熱意を何故持てるのか、持ち得るのか。より高い「建築の質」を求めているからではないか。ということをこの研究を通して掴みまた多くのものを学んだ。